映画「クロッシング」感想

映画「クロッシング」は、2009年に公開されたアントワーン・フークア監督によるクライム・スリラー映画である。リチャード・ギアイーサン・ホークドン・チードルを主演に迎え、ニューヨーク市警の腐敗を描いた作品である。

本作は、3人の警官の視点から物語が展開していく。

1人目は、ベテラン警官のビリー・ロバーツ(リチャード・ギア)。彼は、これまで数々の犯罪者を逮捕してきた正義感の強い警官である。しかし、彼が所属する署では、犯罪者との癒着や賄賂など、腐敗が横行していた。

2人目は、新人警官のジョン・アダムス(イーサン・ホーク)。彼は、正義感と理想に燃える若者である。しかし、彼は、ビリーから「この世界はそんなに単純じゃない」と諭される。

3人目は、黒人警官のハワード・ウィルソン(ドン・チードル)。彼は、黒人コミュニティの信頼を得ようと奮闘する警官である。しかし、彼は、白人警官たちから疎外され、差別的な扱いを受ける。

物語は、ある警官による強盗事件から始まる。この事件をきっかけに、ニューヨーク市警は犯罪の取締り強化に乗り出す。しかし、その裏では、ビリーやジョン、ハワードの3人は、それぞれに葛藤を抱えていく。

ビリーは、腐敗した警察組織の中で、正義を貫くことができるのか。ジョンは、理想と現実の狭間で、どう生きていくのか。ハワードは、黒人コミュニティと白人警官の間で、どう折り合いをつけていくのか。

本作は、3人の警官の葛藤を描くことで、警察組織の腐敗や、人種差別などの社会問題を浮き彫りにしている。また、それぞれのキャラクターの人間ドラマも丁寧に描かれており、観る人に深い感銘を与える作品となっている。

以下に、本作の魅力をいくつか挙げてみたい。

1. 3人の警官の葛藤がリアル

本作の最大の魅力は、3人の警官の葛藤がリアルに描かれていることである。

ビリーは、正義感の強い警官であるが、腐敗した警察組織の中で、正義を貫くことができるのか、葛藤する。ジョンは、理想と現実の狭間で、どう生きていくのか、葛藤する。ハワードは、黒人コミュニティと白人警官の間で、どう折り合いをつけていくのか、葛藤する。

3人の警官は、それぞれに異なる背景や価値観を持っているが、いずれも、善と悪の間で揺れ動く人間である。彼らの葛藤は、観る人の共感を呼び、深い感銘を与える。

2. 社会問題を浮き彫りにする

本作は、警察組織の腐敗や、人種差別などの社会問題を浮き彫りにしている。

ビリーが所属する警察署では、犯罪者との癒着や賄賂など、腐敗が横行している。ジョンは、理想と現実の狭間で、警察組織の腐敗に直面する。ハワードは、黒人コミュニティと白人警官の間で、人種差別に直面する。

本作は、これらの社会問題を、リアリティのある描写で浮き彫りにしている。観る人に、社会問題への問題意識を抱かせてくれる作品となっている。

3. 映像と音楽が素晴らしい

本作の映像と音楽も素晴らしい。

ニューヨークの街並みを捉えた映像は、臨場感と緊迫感を演出している。また、劇中で流れる音楽は、物語のテーマやキャラクターの心情を表現しており、作品をより深く味わうことができる。

まとめ

映画「クロッシング」は、3人の警官の葛藤を描くことで、警察組織の腐敗や、人種差別などの社会問題を浮き彫りにした、素晴らしい作品である。

リアリティのある描写と、映像と音楽の素晴らしさも相まって、観る人に深い感銘を与える作品となっている。まだ観たことがない人は、ぜひ一度ご覧いただきたい。