映画「ミスト」感想

映画「ミスト」は、スティーヴン・キングの短編小説「霧」を原作とした、2007年公開のホラー映画である。監督はフランク・ダラボン、主演はトーマス・ジェーンが務めた。

物語は、ある田舎町で発生した異常な霧をきっかけに、スーパーマーケットに避難した人々が、霧の中に潜む恐怖に立ち向かう姿を描いたものである。

本作は、モンスターパニック映画としての面白さに加え、人間の恐怖心や狂気をリアルに描いた作品として、多くの人々に支持されている。

以下では、本作の魅力を、以下の3つの視点から分析していきたい。

  1. モンスターパニック映画としての面白さ

本作の魅力の1つは、モンスターパニック映画としての面白さである。

霧の中に潜むモンスターは、巨大な蜘蛛や、触手を持つ怪物など、その姿はグロテスクで恐ろしいものばかりである。

モンスターの登場シーンは、緊迫感と恐怖感を煽る演出で描かれており、観客の心を鷲掴みにする。

また、モンスターの正体や目的は、最後まで明かされないまま物語は進んでいく。

この謎めいた展開も、本作の魅力のひとつとなっている。

  1. 人間の恐怖心や狂気をリアルに描いた作品

本作のもう1つの魅力は、人間の恐怖心や狂気をリアルに描いた作品である。

異常な霧が発生し、町が閉ざされた状況下で、人々は徐々に恐怖心や不安に駆られ、次第に狂気に陥っていく。

その様子は、決して他人事とは思えないほど、リアルに描かれている。

例えば、主人公のデイヴィッドは、息子の安全を守るために、過激な行動に走ってしまう。

また、宗教に狂信的な女性は、町の人々を扇動して、狂乱の儀式を執り行う。

このように、本作では、人間の恐怖心や狂気が、様々な形で描かれている。

その描写は、決して単純なものではなく、複雑で深みのあるものとなっている。

  1. 人間の本性や集団心理を描いた作品

本作は、人間の本性や集団心理を描いた作品としても、高い評価を受けている。

異常な状況下で、人々は、本来の自分を失い、残酷な行為に走ってしまう。

その様子は、人間の本性の醜さや、集団心理の恐ろしさを浮き彫りにするものとなっている。

例えば、デイヴィッドは、息子の安全を守るために、他人を犠牲にすることを正当化してしまう。

また、スーパーマーケットの店員は、自分を守るために、人々を冷酷に排除してしまう。

このように、本作では、人間の本性や集団心理の危うさが、鋭く描かれている。

その描写は、決して楽観的なものではなく、警鐘を鳴らすものとなっている。

以上のように、本作は、モンスターパニック映画としての面白さに加え、人間の恐怖心や狂気、そして人間の本性や集団心理をリアルに描いた作品として、高い評価を受けている。

また、ラストシーンの衝撃的な結末も、本作の魅力のひとつとなっている。

本作は、決して観やすい作品ではないが、その奥深いテーマや、リアルな描写は、観る人に深い印象を残すだろう。